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そもそも後継者がいない不安

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中小企業のなかで、後継者が不在なことを理由に廃業するケースは少なくありません。ここでは、後継者がいないことに不安を感じている経営者に向けて、後継者の育成方法や社員・取引先を守る解決法をまとめてみました。

止まらない日本の社長の高年齢化

帝国データバンクが2021年に行った「全国『社長年齢』分析調査」によると、2021年の時点で社長の平均年齢は60.3歳となっています。この年齢は前年に比べてプラス0.2歳となり、過去最高齢となりました。この調査をスタートした1990年から右肩上がりの状態となっており、31年連続で過去最高を更新しているのです。

年代別では50代が27.6%で最も多く、次に多いのが60代で26.9%、次に70代で20.2%となっています。ちなみに社長の交代率は3.92%と非常に低く、直近2年に比べると改善傾向にありますが、いまだ低水準を脱することができていない状態です。

※参照元:帝国データバンク(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220301.html

2021年における後継者がいない企業の割合

社長の高齢化に伴い、重要となってくる後継者問題。帝国データバンクによる「全国企業『後継者不在率』動向調査(2021年)」を見ると、全国・全業種約26万6,000社のうち「後継者がいない」「後継者が未定である」と答えた企業が約16万社にのぼったとのこと。このデータから、全国の後継者不在率は61.5%となりました。

事業承継については、2021年度は「同族承継」で企業を引き継いだ割合が38.3%となり、全項目中でもっとも高かったとのこと。しかし、2017年と比べると3.3ポイント低下しており、親族間での事業承継もゆるやかに減少傾向となっていることが分かります。

そんな同族承継に代わって存在感を見せているのが、親族や血縁などに関わらず後継者を登用する「内部昇格」。この割合は、31.7%となっています。

参照元:帝国データバンク(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p211104.html

従業員・取引先を守る後継者問題解決法とは

後継者問題を抱えた経営者がとれる方法には、廃業・事業承継・M&A・IPO(株式公開)が挙げられますが、後継者不在の状態で確実に従業員・取引先を守ることができるのは、「M&A による会社・事業の譲渡」「株式公開(IPO)」となります。

M&A による会社事業の譲渡

M&Aとは、企業の合併・買収を示す言葉ですが、具体的には親族や従業員以外の第三者(スポンサー)にその会社の事業の全部または一部を譲り渡すことで、事業の維持存続を図る手法として後継者問題を解決する手法として利用されます。

M&Aで譲渡(売却)するのは、会社が保有する資産や事業、ノウハウや従業員雇用が含まれますが、個人の資産は対象外となります。

この方法では、身近な関係者ではなく、国内延いては海外も含めた幅広い企業や個人(投資家)から譲受候補(スポンサー候補)を探すことが可能で、また、将来性のあるスポンサーに出会えれば、譲渡後の会社や事業のさらなる成長も期待できます。

従業員や取引先に対する影響が少ない

M&Aでは、従業員はもちろん、取引先の関係、事業に関連する技術やノウハウなども一括して譲渡することも可能です。従業員雇用についても、新たな譲受先において「継続雇用する」条件を付すことが一般的で、取引先との関係も維持される前提で交渉が行われることが多いため、関係者への影響も少なく、配慮も可能となります。

創業者利益が大きくなる

M&Aによる事業譲渡では、廃業よりも創業者が得られる利益が大きくなるケースがほとんどです。M&Aでは負債を含めた事業を一括で売却しますが、この際に個人保証なども除外することできます。つまり、リタイア後に負債が残る可能性がきわめて低いということです。また、資産の評価額はほとんど時価となり、営業権についても買取価格に加味されるので、リタイア後の生活に役立つくらいのまとまったお金を手にできるでしょう。

IPO(株式公開)

後継者不在の経営者が取るべき選択肢のひとつとして、IPO(株式公開)が挙げられます。IPOとは自社株を市場に公開して流通させることを指し、実現すれば企業は高い換金性を持てるようになります。経営者が持つ株式を売却することで大きな創業者利益を得られる可能性も高まりますし、上場によって企業の価値もアップ。より幅広く後継者候補を探せるようになったり、M&Aによる買い手もつきやすくなるでしょう。

ただし、IPOを実現するには複数回の審査と厳しい条件をクリアする必要があり、多くの中小企業にとってはかなりハードルの高い選択肢となります。証券取引所ごとに基準は異なりますが、ジャスダック(スタンダード市場)では直近1年間の利益が1億円以上と決められており、この条件を満たせる企業はかなり少なめ。さらに、上場審査料といった経費もかさむため、後継者問題の解決方法としては実現が難しいかもしれません。

しかし、後継者問題にいち早く気づいてIPOを実現するために動き出せば、まったく不可能とは言えません。IPOの実現には後継者問題の解決だけでなく、「企業ブランド価値の向上」「資金調達力の向上」「創業者利潤の実現」といった、さまざまなメリットがあります。将来的にM&Aを成立させるためにも有意義な方法なので、専門家の意見も聞きつつ検討してみると良いでしょう。

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