事業を次のフェーズに推し進めるために必要な「販路開拓」。ここでは、企業の経営資源を活かした販路開拓の方法についてくわしく解説していきます。中小企業庁による共同・協業販路開拓支援補助金についてもチェックしておきましょう。
販路とは製品・サービスを販売するためのルートで、販売チャネルと呼ばれることもあります。つまり、販路開拓とは製品・サービスの新しい販売経路やチャネルを見出すこと。企業にとって、新しい販路を開拓していくことは企業運営だけでなく、事業を拡大してくうえでも重要な課題なのです。
とくにベンチャー企業や新規事業の立ち上げ時においては、販路がなければ事業が立ち行きません。しかし、だからと言って闇雲に販売を行っても効率が悪く、コストばかりがかかるといった結果になりかねません。コストを抑えて効率を高めるためにも、まず販売・サービスを提供できる販路を開拓しておくことが第一です。
もちろん、すでに販路を持っている企業にとっても販路開拓は重要。新たな販路を広げることで新規顧客を獲得できたり、販売先の多様化といったメリットがあります。既存の顧客を大切にすることも重要ですが、さらに事業を大きくしていきたいと考えているなら、積極的な販路開拓は欠かせないでしょう。
チャネルとは流通経路のことで、販路拡大のためには「コミュニケーションチャネル」「流通チャネル」「販売チャネル」の3種類を意識する必要があります。
コミュニケーションチャネルとは、顧客に商品・サービスなどを知ってもらうためのチャネル。これまではCM・新聞広告・雑誌などが主流でしたが、近年ではSNS・ネット広告・ホームページ・デジタルサイネージなどが多く活用されています。
流通チャネルとは、顧客に製品・サービス等を届けるためのチャネル。卸売業者・輸送サービス業者・小売業者などがこれに該当します。流通チャネルには0~4までの段階があり、段階が増えるほど中間マージンも増加。生産者側の利益が減少します。
販売チャネルとは、製品・サービスなどを顧客に販売する場のこと。BtoC企業の場合、小売店やECサイト(通信販売)がこれに該当します。企業向けの取引を行うBtoB企業では、直接取引をはじめ、代理店経由・展示会を利用することがあります。
販路開拓を成功させるには、この3種類のチャネルをしっかりと意識し、ブラッシュアップしていくことが重要。3つのどれかが欠けていたり、機能していない場合は、販路開拓がうまくいかないケースもあります。また、販路開拓に取り組んでいるのになかなか成果が見られない…といった場合は、この3つのチャネルを見直すことで改善策を見出せるかもしれません。
事業をさらに拡大させていくために、新たな販路を探している経営者は多いと思います。しかし、どんなに素晴らしい製品・サービスを開発したとしても、ターゲットとしている顧客層にそれらを届ける販路を見出すのは至難の業です。
そこで、販路開拓の手段のひとつとして注目されているのがM&A。M&Aは企業買収や他業種参入のための手段と思われがちですが、実は販路開拓といった面から見ても非常に優秀な手段なのです。
M&Aで同業他社を買収したり、業務提携をした場合、相手側企業の販路をそのまま利用できるというメリットがあります。自社よりも企業規模・ブランド力・知名度が高い企業とM&Aが成立すれば、相手企業の力によって自社製品・サービスの信頼度もアップ。販売経路の拡大はもちろん、収益のアップにもつながります。その他、資金調達が円滑に進んだり、生産体制を強化できるといったメリットも享受できるでしょう。
スピード感を持って事業を拡大するために販路開拓を検討する経営者も多いのではないでしょうか。
M&Aは経営困難に陥ってから選択するものではなく、事業発展のために活用する手段のひとつです。以下でより詳しく紹介していますのでご確認ください。
経済産業省に属する中小企業庁では、販路拡大を目指す中小企業に向けた支援制度、「共同・協業販路開拓支援補助金」を設けています。
これは、商工会・商工会連合・商工会議所・商店街振興組合・中小企業団体中央会といった地域振興等機関が中心となり、中小企業や小規模事業者の製品・サービスの販路開拓を支援するという取り組みです。それぞれが互いの経営資源を補いつつ、製品・サービスを展開していくための補助金を支給しています。
ただし、この補助金はいつでも受けられるというワケではなく、公募期間内に申請を行う必要があります。利用を検討している場合は、情報をしっかりチェックしておきましょう。
自社にないノウハウを持つことで新たな販路が開拓されることは想像できますが、人材の確保、仕組みや組織の構築、設備投資などを含めると、時間もコストもかかることが予想されます。
一方、M&Aを選択した販路開拓は、自力での販路開拓にはないシナジー効果が期待できます。自社にとってこのシナジー効果がどれほどの利益になるか、具体的に検討することも重要になるでしょう。
ABNアドバイザーズ株式会社/澤田氏
自社の強みにマッチした販路開拓を
売上を伸ばし、さらなる利益を獲得するために欠かせない販路拡大。しかし、自社と提供する製品・サービスにマッチし、ターゲットにしっかりとそれを届けられる販路を見つけるのはなかなか難しいことです。
販路拡大で重要なのは、まずデータを収集して分析を行い、自社に合った販路を選択すること。M&Aをはじめとする販路拡大に有益なビジネスパートナーを見つけるといった方法も、視野に入れることが、のちの事業発展につながることも。ぜひ一度ご相談ください。