経営者に定年という概念はありませんが、やはり年を重ねるにつれて感じ始める健康不安。ここでは、経営者の健康問題による企業のリスクと、その対応策についてまとめてみました。今後の対策の参考にしてみてください。
アクサ生命保険株式会社が、全国の中小企業経営者5,303名を対象に行った大規模意識調査「社長さん白書2020」。この調査によると、88.1%の経営者が自身に何らかの問題が起きて就業不能となった場合、「経営に不安がある」「影響がある」と回答しています。
しかし、就業不能となった場合に備えて対策を取っている経営者は64.9%。2019年の調査では52.4%であったため、多少は増加していますが、それでも3割近くの経営者が特別な対策を取っていないことが分かります。
また、自身が認知症を発症した場合に議決権が行使できなくなることについて、「理解してない」「認知していない」と答えている経営者は44.7%。将来的な疾病・体調不良による健康不安は感じているものの、具体的な対策を講じていない経営者が多いという事実が浮き彫りになっています。
心身共にパワーが充実しており、「まだ働ける!」と思っている経営者も少なくありませんが、企業のトップである経営者としては万が一の事態にもしっかり備えておくことが大切でしょう。
「企業をもっと成長させたい」「事業を存続させたい」といった思いから、自身の健康を顧みずに業務に邁進している経営者も多いのではないでしょうか。しかし、そういった情熱を持つ経営者こそ、想定外のケガ・病気等で就業できなくなった場合のリスク対策は重要です。
経営者の高齢化や健康不安への備えとして、事業承継先を考えておくことは大切。一般的な方法としては親族が事業を引き継ぐ「親族内承継」が挙げられますが、すぐに適任者が見つからないこともありますし、育成にも時間がかかります。そのため、経営者が健康なうちに適任者を見つけ、経営者としての知識・スキルを継承させておくことが重要です。
もし親族内に適任者が見つからない場合、社外の第三者へ事業承継をする「第三者承継」、企業を他社へ売却する「M&A」を視野に入れるのもひとつの手段です。これらの方法であれば後継者がいなくても事業を継続でき、従業員や取引先との関係も守ることができます。
とくにM&Aの場合は、企業を売却した利益が経営者にもたらされる可能性もあるため、引退後の生活や老後資金に充てることもできます。