ここでは、スタートアップの資金調達について詳しく解説しています。
スタートアップとベンチャー企業の違い、スタートアップの資金調達の現状、スタートアップのM&A成功事例などについてまとめましたので、関心のある方はぜひ確認してみてください。
出口戦略を前提としているイメージがあるスタートアップですが、昨今ではM&Aによる成長戦略にシフトするスタートアップも増えてきたようです。いずれの目的であっても資金調達が成否の鍵を握ることになるでしょう。
スタートアップとは、今までにないビジネスモデルを展開する新規企業のことです。ベンチャー企業と混同されることがありますが、ベンチャー企業は小規模な新規企業を幅広く指していることに対し、スタートアップは今までにないビジネスモデルを通じ、世の中にイノベーションをもたらすことを目的としている点において、ベンチャー企業と区別されます。 また、比較的小規模な組織である点ではベンチャー企業もスタートアップも共通していますが、スタートアップの場合、基本的には即戦力となる人材のみで構成された組織である点が特徴的です。
起業家は自社やサービスを拡大するために、単独でIPOをすることで市場から資金調達をしたり、自分自身のオーナーシップにこだわることなく、他者の資本を活用したり大手企業に売却したりすることを常に選択肢に入れているということも、ベンチャー企業とは異なるスタートアップ特有の傾向とも言えます。
スタートアップという組織の性質上、資金調達において過去の実績を問われても、示すべき実績がないことがあります。それにも関わらず、スタートアップの資金調達の現状は活況です。
日本ベンチャーキャピタル協会が公表したデータによると、国内スタートアップの資金調達総額は、2019年に5500億円、2020年に5323億円、2021年に四半期のみで2000億円と推移。コロナ禍にもかかわらず、着実に市場を拡大させています。
スタートアップの資金調達額が活況である理由は、投資家から見てスタートアップの将来性が魅力である点だけではなく、多くのスタートアップにおいて資金を必要としている点も指摘できるでしょう。
スタートアップ特有の傾向として、自身のオーナーシップにこだわることがないと説明しましたが、いわば、起業家は自身で出来る限りを尽くした後は、会社やサービスを拡大させることと併せて、自身がこれまでに投じた資金と時間の回収のための出口戦略を常に考えています。
その中で、単独でのIPOを推進することと、大手企業やファンドとの資本提携により相乗効果を創出した状態でのIPO、IPOを前提とせず大手企業に会社やサービスの拡大を託す、といういくつかある選択肢でどれが顧客や会社、従業員、自分自身にとって最善であるのかの判断をしなければなりません。
たとえばスタートアップの中には、資金調達によってM&Aを進めるところもありますが、この場合の目的は、出口戦略ではなく成長戦略にあると言えます。
M&Aが成功すれば、資金調達力はさらに上がります。また、コスト削減や技術力の向上などにもつながります。将来的な事業拡大・成長を描いているスタートアップにとって、資金調達を通じたM&Aは有効な戦略の一つとなります。
2017年8月、創業2年半のスタートアップ「ソラコム」がKDDIにより連結子会社化されました。買収額は非公開ですが、一説には200億円もの資金が動いたとされています。
M&Aにあたり、ソラコムは社員全員にストックオプションを配布。社員の離職を防ぐことにも成功しています。
2018年7月、料理レシピ動画サービス「クラシル」を運営するdelyがヤフーにより連結子会社化されました。
買収額は約93億円。ヤフーはdelyの経営権を獲得するとともに、delyはヤフーの持つ巨大な経営基盤を活用する道を開拓しました。
2023年1月、モデルナがオリシロジェノミクスを8,500万ドルで買収する契約を締結することが発表されました。モデルナはmRNAを活用した新薬開発を強みとする企業で、オリシロジェノミクスは2018年に設立したバイオスタートアップです。
モデルナはオリシロジェノミクスを買収することで製造に関する専門知識を戦略的に保管し、研究開発の加速を図る見込みです。