飲食業は我々の生活においても身近なビジネスですが、いざ経営するとなると資金繰りも含めたさまざまな課題に直面します。ここではそんな飲食店の資金繰りについて、特徴や資金調達方法などを解説していきます。
飲食業は日々売上が立ち、現金やクレジットカード、QR決済などさまざまな決済方法で売上金を回収することとなります。また仕入などについては月締めで決済することもあれば、市場などで現金仕入を行うこともあるでしょう。そのため飲食業においては日々の資金管理、日繰りレベルでの資金管理が求められます。大きな支出としては開業時や改装時等に発生するものがありますが、運営に係るコストは売上規模に応じた水準の支出が基本となるでしょう。また人件費支出も発生してくるビジネスモデルですから、売上回収・仕入支払のサイクルはしっかりと把握しておく必要があります。
飲食業においてもさまざまな資金調達方法があり、それを事前に知っておくことはとても重要です。特に飲食業における売上は見通す事が難しく、例えば大雨が続くなどの天候が悪化したり、近隣にライバル店が突如出店してきたりと外部環境にも大きく左右されます。資金調達の選択肢をしっかりと把握しておき、有事に備えた準備をしておきましょう。
日本政策金融公庫は政府系金融機関であり、さまざまな融資制度があります。中には低利子の融資や無担保・無保証人で融資してくれるような制度もあり、創業や企業支援・ベンチャー企業支援などあらゆる融資メニューが用意されています。公式ホームぺージなどに記載されているような要件を満たしている場合には融資を受けられる可能性がありますので、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
銀行や信金などの金融機関借入も選択肢として認識しておきましょう。金融機関からの借入には審査があるため融資を受けられるかは完全なケースバイケースですが、一定の借入を行ったうえで返済実績を作っておくと、有事の際の支援が受けやすくなるともいわれています。融資に際しては個人保証や担保提供を求められることもありますが、低利で借りられるなどのメリットもあります。また、銀行借入ができる=審査を通っているしっかりした企業という、社会的なイメージ向上にも寄与することがあります。
信用保証協会は全国にある保証機関で、資金調達に際して万が一借主が返済できなくなった時、代わりに債務を弁済してくれる機関です。融資窓口は銀行などの金融機関が対応しますが、保証協会の保証を受けることで借入調達がしやすくなるという大きなメリットがありあます。利用するためには代表者の個人保証が必要だったりさまざまな要件を充足する必要もありますが、銀行単独での融資(プロパー融資)が受けられない企業であっても資金調達ができる可能性があります。
M&Aは「企業の買収と合併」という意味の言葉であり、事業の譲渡や会社の経営権である株式の売買を示すことが一般的です。資金調達場面においては一部事業の売却により得られる売却代金や、株式を譲渡することで経営権を保有した親会社からの資金調達を行うなど、さまざまな選択肢・可能性が生まれます。また、一部株式の譲渡や増資による資金調達も可能性としては考えることができますが、企業経営における株式はとても強力な権利を持ちますので、慎重な判断が必要です。
飲食業は外的環境に大きく左右され、お客さんが入るかどうかで売上が大きく変わってしまうなど見通しを付けづらいという特徴があります。そのため大きな環境変化などで売上が減少してしまったとしても、一定期間事業が継続できる水準の運転資金を確保しておくようにしましょう。苦しくなってから動くのではなく、業績が好調なうちから資金調達先の確保を行うなど、有事に備えた経営努力を重ねておくことが重要です。