M&Aを成功させるには、情報漏洩に対しても細心の注意を払う必要があります。ここでは、M&Aにおける情報漏洩のリスクと、その対策方法についてご紹介。M&Aに取り組む前に、必ずチェックしておきましょう。
M&Aにおいて譲渡側がとくに気をつけなければならないのが、情報漏洩です。以下に、譲渡企業における情報漏洩のリスクについてまとめてみました。
M&Aが成立する前に外部へその情報がもれてしまうと、M&Aそのものの検討がストップし、場合によっては、取引が中止されてしまうリスクがあります。M&A取引は、会社の利害関係人にとっても非常に重要な情報であり、オーナー経営者のみならず、他の株主や取引先に対する影響度が大きいため、具体的な話はもとより、M&Aを検討しているそのものも秘匿性が求められます。
M&A取引は、その会社の利害関係人、特に、取引関係のある先にとっても大きな関心事となります。従前の取引が維持できるのか、関係性はどうなるのか、といった憶測が不必要な憶測を惹起することで、取引関係の見直し等に事態が発展するケースもあります。
自分の会社がM&Aによって他社資本を受け入れるかもしれないということが社内に知れ渡ってしまうと、動揺する従業員が出てくるかもしれません。場合によっては、不安心理から退職者が出てくる可能性も念頭に置かねばなりません。M&Aが成立する前の段階では、伝えられる情報も非常に限られ、ともすれば無用な憶測を呼ぶようなリスクがありますので、情報の取扱いには非常に注意が必要です。
意外に思われるかもしれませんが、情報漏洩の多くは、譲渡を検討している会社側から漏れてしまうことが多くあります。
注意したいのは、気を許しがちな経営者仲間との雑談等で、M&Aを検討している云々というような会話をしてしまうことや、不特定多数がいる公の場での会話、また、信頼できる部下であってもM&Aに関することはおいそれと話はできません。家族や親族間であっても事態を複雑にする可能性のある場合も打ち明けることが難しいかもしれません。 M&Aアドバイザリー会社とやり取りしている資料等を社内の目に触れるところに置いておくことも情報管理の面から注意せねばなりません。
ABNアドバイザーズ株式会社/澤田氏
厳しい情報管理を行っている会社を選ぼう
M&Aの手続きは、一般的に3ヶ月~1年ほどの時間が必要となります。万が一、手続きの流れの中で問題が発生した場合はさらに期間が延びる恐れがありますし、それに伴いコストや労力も増えてしまいます。
成約までに長い時間を要することは買い手と売り手の双方にとって好ましくない状況なので、M&Aに詳しい仲介会社を利用して、リスク軽減に努めたほうが良いでしょう。とくに、初めてM&Aに臨むという企業は、スムーズに手続きを進めるためにも専門家の力を借りるようにしてください。
また、マッチングを推進する際は、どの提携候補企業に自社のM&A情報が持ち込まれたのか、しかりと把握するために、信頼できる特定のアドバイザーに依頼するようにしましょう。