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M&A事業売却経験者アンケート調査|主な理由や懸念点、成果を分析

INDEX目次

M&A(合併・買収)は、多くの企業にとって重要な戦略的決断であり、企業が成長し、新たな市場に進出し、財務状況を改善するための手段でもあります。しかし、M&Aは複雑で挑戦的なプロジェクトでもあります。
経営者は、適切なパートナーの選定、財務状況の透明化、適正価格の評価といった多くの障壁に直面します。

本アンケート調査は、M&Aによる事業売却を経験した経営者たちからの貴重なフィードバックを収集し、その理由、懸念点、直面した課題、および成果についての深い洞察を提供します。
実際の経験者の声を通じて、M&Aの過程を深く理解し、成功への道を探るための参考にしてください。

対象:会社経営に関与しており、M&Aによる事業売却の経験があると回答した男女111名
2024年2月実施(調査機関:Fastask)

M&Aによる事業売却経験者のアンケート調査結果

M&Aを検討し始めた主な理由は何ですか?

アンケート調査結果

M&Aを検討する主な理由として、「業務の拡大」が23.4%で最も多く、次いで「資金調達」と「新しい市場への進出」がそれぞれ15.3%となっています。
これらの結果から、経営者は成長機会を追求し、事業のスケールアップを図ることに関心が高いことが伺えます。一方で、「財務状況の改善」を理由に挙げたのは0.9%にとどまり、直接的な財務上の問題解決よりも、長期的な成長や効率化を目指す傾向が明らかになりました。

M&Aを進める上で最も大きな懸念は何でしたか?

アンケート調査結果

経営者がM&Aを進める上で最も懸念していた点は「財務状況の透明化」で、回答者の約22.5%がこれを指摘しました。続いて「適正価格の評価が困難」が約18.9%、「売却後の統合プロセス」が約14.4%となっています。これらの結果から、M&Aでは財務的な透明性と適正な価格設定の難しさ、そして取引完了後の統合に対する不安が経営者にとって大きな課題であることが明らかになります。

M&Aプロセス中に直面した最も困難な課題は何でしたか?

アンケート調査結果

M&Aプロセスにおいて経営者が直面した最も困難な課題は、「適切な買収先(または買収者)の選定」であり、約25.2%の経営者がこれを指摘しています。次いで「価値評価の相違」が22.5%であり、この二つの課題がM&A成功の鍵を握る重要な要素であることが明らかです。その他、「機密情報の保護」や「財務・法律のデューデリジェンス」も大きな課題として挙げられており、M&Aを取り巻く複雑な環境と、その過程で求められる厳格な情報管理と精緻な評価の必要性を示しています。特に、情報システムの統合や異なる企業文化の統合といった後工程の課題は比較的低い割合であるものの、無視できない重要なポイントであることが伺えます。これらの結果から、M&A成功のためには、初期段階での正確な評価と選定、そしてプロセス全体を通じた細心の注意と戦略が必要であることが強調されます。

M&A会社を選定する際、どのような基準を重視しましたか?

アンケート調査結果

M&Aによる事業売却の経験がある経営者を対象としたアンケートでは、「業界内での取引実績」が51.4%で最も重視される基準として挙がりました。次いで「手数料やコスト」が43.2%、「業界専門知識」「サービス提供の範囲」「評判と信頼性」がそれぞれ28.8%となり、これらの要素がM&A会社選定の重要なポイントであることが明らかになりました。「プロセスにおけるサービスの範囲」と「コミュニケーションとサポートの質」は比較的低い割合でしたが、それでも一定の経営者にとって重要な基準であることが示されています。全体として、経営者は実績とコストを特に重視しつつ、サービスの質や信頼性も考慮に入れてM&A会社を選定していることがうかがえます。

M&Aのプロセスを進めるために、どのような外部支援を利用しましたか?

アンケート調査結果

M&Aによる事業売却の経験がある経営者を対象にしたアンケートによると、最も多くの経営者が利用している外部支援は「M&A仲介会社」(27.0%)であることがわかります。次いで「M&Aアドバイザリー会社」(18.0%)、「財務顧問」(16.2%)と続きます。一方で、「外部支援を利用していない」と回答したのはわずか3.6%にとどまり、M&Aプロセスにおいては多様な外部支援の活用が一般的であることが示されました。この結果から、M&A成功に向けて専門的なアドバイスやサポートの重要性が浮き彫りになります。

M&Aの取引を完了するまでにかかった時間はどのくらいでしたか?

アンケート調査結果

M&Aによる事業売却の経験がある経営者を対象にしたアンケート結果では、取引完了までの期間に関して最も多数を占めたのは「3~6ヶ月未満」で43.2%という結果でした。次いで「6~12ヶ月未満」が33.3%と続き、これらのデータからM&A取引が一般的に数ヶ月から1年程度の時間を要することが伺えます。「12ヶ月以上」と回答したのは9.0%にとどまり、長期化するケースは比較的少数派であることがうかがえます。また、「期間が特定できない」との回答も5.4%あり、M&Aプロセスの複雑さや予測不可能性を物語っています。

M&A後の統合プロセスにおいて、特に重視したポイントは何ですか?

アンケート調査結果

M&A後の統合プロセスにおいて、経営者は主にシステムやプロセスの統合(23.4%)を最も重視していることが分かります。これに続いて、人材の統合と配置(22.5%)、ブランドや市場戦略の統合(20.7%)、企業文化の統合(17.1%)となっており、これらのポイントが統合成功の鍵であると考えられます。一方で、デューデリジェンスの結果の活用は3.6%と低く、重視したポイントがないと回答した経営者も0.9%いました。これらの結果から、統合プロセスにおいては、内部要素の統合が外部要素よりも優先される傾向があるとうかがえます。

M&Aを通じて得られた最大の利益は何だと感じますか?

アンケート調査結果

M&Aによる事業売却経験を持つ経営者を対象としたアンケートでは、「市場価値の最大化」が20.7%で最も多くの経営者が感じた最大の利益として挙げられています。これに次いで、「財務状態の改善」と「新しい技術やノウハウの獲得」が共に18.9%で続きます。一方で、「後継者問題の解決」や「得られた利益はない」と回答した経営者は少数派に留まりました。この結果から、M&Aは主に財務的なメリットや市場競争力の強化、新技術の獲得といった具体的な利益をもたらす手段として捉えられていることがうかがえます。また、経営の多様性や革新性の向上、経営リスクの低減など、間接的な利益を重視する声もあることが示されています。

M&Aの成果について、あなたの満足度を教えてください。

アンケート調査結果

M&Aの成果に関するアンケートでは、大多数の経営者が肯定的な評価をしており、約71%が「非常に満足」と「やや満足」と回答しました。これは、多くの経営者がM&Aを成功と捉えていることを示しています。一方で、約4.5%が不満を感じており、M&Aの成果に対する期待と現実とのギャップを感じている可能性があります。「普通」と答えた22.5%の経営者は、M&Aの成果をバランス良く見ているか、特定の成果に対する明確な評価を下していない可能性があります。全体として、M&Aに対する積極的な評価が多いものの、一部には期待を満たしていないケースもあることがうかがえます。