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財務面で測る自社の成長性分析

INDEX目次

企業が成長しているかどうかを判断するだけでなく、M&Aにも欠かせない「成長性分析」。この成長性分析を見ることで企業の何が分かるのか、今後の事業にどう活用していけるのか、といった情報をご紹介します。

成長性分析とは

成長性分析とは、企業がどれくらい成長しているか、業績がアップしているかを分析すること。売上高・総資産といった情報と競合他社などを比較し、企業が置かれている現状や強みとなっている部分、解決するべき課題・改善点を知るために行うものです。

成長性分析に使用される6つのチェックポイント

企業の成長分析では、売上高・経常利益・営業利益・総資産・純資産・従業員といった、6つのチェックポイントを対象に分析を行います。

1.売上高増加率

売上高増加率とは、前年度の売上に対してどれだけ売上高が伸びたかを指します。(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100で算出され、伸び率がプラスになっていれば企業は成長、マイナスの場合は衰退していることになります。

ただし、この判断に用いられるデータは数年単位となっており、市場規模データといった外部情報と擦り合わせての判断が重要となります。

2.経常利益増加率

経常利益とは、本業以外の利益も含めた総利益の伸び率となります。(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100で算出され、売上高にプラスして経常利益も増加していれば、企業の経常的に稼ぐ力が伸びているということになります。

3.営業利益増加率

営業利益とは本業とする事業からの儲けであり、その利益の伸び率を表したものが営業利益増加率となります。計算式は、(当期営業利益-前期営業利益)÷前期営業利益×100。これを算出することで、企業が本業でどれくらい稼げたかを分析することができます。

4.総資本増加率

総資本増加率とは、前年度に比べて総資本がどれくらい増えているかを把握するための指標。(当年度総資本-前年度総資本)÷前年度総資本 × 100で計算でき、継続的に資本が増加していく状態が企業として望ましい状態となります。

ただし、総資本の中には負債や返済不要の純資産も含まれているため、これらが増えることによる総資本の増加は歓迎できません。

5.純資本増加率

純資産とは、企業が持つ総資産から負債を引いた差額のこと。純資本増加率は(当年度純資産-前年度純資産)÷前年度純資産×100で計算することができ、その値は純資産の伸び率を指します。利益を安定して出し続けたり、増資を行うことができれば純資産は増加。その伸び率がプラスであればあるほど、企業にとっては望ましい状態と言えます。

6.従業員増加率

従業員増加率とは、従業員数の増加・減少によって企業の成長性を判断する指標。(当期従業員数-前期従業員数)÷前期従業員数×100で算出されます。ただし、設備投資によって人的コストをカットしているケースもあるため、この数値だけでは企業の成長性は判断できません。

成長性分析の目的

成長性分析では、上記の6つの観点からデータを算出し、前年度と比較することで成長率を分析していきます。ただし、成長性分析はただ単に企業の成長率や利益の伸び率を把握することではありません。会社の成長を止めないためになぜその結果になったのかを比較検討し、企業の将来に役立てていくことが成長性分析の目的となります。

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会社経営において財務強化が重要であることは知りつつ、成長性分析をして事業計画を練っていても不安定な時代であることには変わりありません。資金面に不安があるならなおさらですが、潤沢な資金があってもなお、資金繰りの手を止めない企業も多く存在します。

会社を続けるためにはさまざまな資金調達術を把握しておくことも、経営者にとって必要な条件になりつつあるのではないでしょうか。

事業発展のための資金調達法

成長性分析のメリット

成長性分析を行うことで、企業は以下のようなメリットを享受することができます。

成長率を分析することで将来の見通しを立てられる

成長性分析では、過去数年間のデータと現在の売上高・利益率などを比較します。数値の変化を見比べることにより、企業は経営における課題を見出すことが可能。「具体的にどんな行動を起こせば事業を拡大できるか」「利益を継続的に伸ばしていくにはどうしたらいいか」など、将来的な見通しを立てられるようになるのです。

どんなに売上高が伸びていても、コストがかかりすぎていては最終的な利益は少なくなってしまいます。そうならないような事業計画を立てるためにも、成長性分析は必要不可欠なものなのです。

財務状況を直感で理解できる

財務状況を把握するには収益性分析・安全性分析などが用いられますが、これらの数値から企業の現状を理解するのはなかなか難しいものです。しかし、成長性分析の場合は「企業が成長しているかどうか」を判断するものなので、「成長しているのならひとまず安心」といった、直感的な理解の仕方ができます。もちろん専門的な分析も必要となりますが、現状を分かりやすく理解できるという面は、成長性分析のメリットと言えるでしょう。

企業の成長性を上げるためには

企業の成長性分析を行い、さらなる成長を望むための手段としてM&Aが用いられることがあります。

M&Aは買収側としてはもちろん、他社の傘下に入る、事業の一部を切り離す、といった売却側でも成長戦略として用いられることも多いに考えられます。
とくに中小企業においては資金繰りが改善されることで事業拡大が加速するケースもあり、前向きな事業戦略として検討する企業が増えつつあります。

また、買収する企業側においても成長性が見込める企業というのは魅力的なものです。成長性を上げるためには、中長期的な観点での経営戦略が重要と考えられるのではないでしょうか。

編集チームより

企業の現状把握や、今後の事業拡大・経営安定に向けた施策を考慮するのに欠かせない成長性分析。
成長性を考える手段のひとつとしてM&Aを選択する中小企業が増える背景として、若手経営者のM&Aに対するイメージの変化があるのではないかという見方もあり、実際、2020年の調査(※)によると、買収・売却共に10年前よりM&Aのイメージはプラスに転じているようです。

事業を続けるためにも、正しいM&Aの知識を取得することは、事業成長において欠かせない時代になってきたと言えるでしょう。

※参照元:中小企業庁「M&Aを通じた経営資源の有効活用」https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_3_2.html

監修コメント
ABNアドバイザーズより
ABNアドバイザーズ澤田様

ABNアドバイザーズ株式会社/澤田氏

成長分析の上手な活用方法を身につけよう

自社の事業を安定させるためには成長性分析だけでなく、「収益性分析」「安全性分析」「生産性分析」といった財務分析が必要となってきます。
また、成長性戦略のひとつとしてM&Aが有効な手段であることを知らない方も多いのではないでしょうか。こうした問題に関しては専門的な知識が必要となるため、M&Aアドバイザーに相談してみることが第一歩となります。

ABNアドバイザーズでは銀行系M&Aアドバイザーとしての強みを活かし、財務に関するさまざまな問題をM&Aで解決に導いています。まずはご相談を。

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