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企業価値を左右する遊休資産・不良資産

INDEX目次

遊休資産や不良資産を抱えている企業は少なくありませんが、実はこれらが事業の収益率低下につながっている恐れがあります。ここでは、企業価値を左右する遊休資産と不良資産の対処法について、くわしくまとめてみました。

遊休資産や不良資産とは

遊休資産とは、事業に使用するために取得したにもかかわらず、何らかの理由で使用していない・稼働していない資産のことを指します。具体的には、土地や建物といった不動産、使用を休止している製造用機械・工作機械といったものが遊休資産に該当します。

不良資産とは、将来的に現金化が難しくなってしまった資産を指します。たとえば、回収の見込みが立たない債権・売掛金、大幅に価値が下がり買い手がつかない証券、搬送中に壊れたり傷がついてしまった製品なども不良資産となります。

遊休資産や不良資産があるとどうなる?

企業で遊休資産・不良債権を持ったままになっているケースは多々ありますが、もしそのまま放置しておいた場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

管理の甘さから企業価値が下がる

将来的に、現金に変えることが難しい遊休資産や不良資産。これらを抱えていると、社会的には「利益になるものと、利益にならないものの区別がついていない」とみなされます。つまり、経営者としての手腕に問題があると思われてしまうのです。

また、企業の資産状況を示す貸借対照表にこうした不良資産があると、資金繰りが悪くなるだけでなく、金融機関などから「管理が甘い企業である」と認識され、企業価値が低下。融資などの申請が通りにくくなることがあります。

企業の収益率が下がる

処分するのに「費用がかかる」「手間がかかる」といった理由から、遊休資産・不良資産をいつまでもそのままにしているケースがあります。しかし、それらを処分せずに持っているだけでも維持費はかかるもの。倉庫のスペースが圧迫されたり、ものによっては人件費や光熱費がかかるなど、管理コストが増大するという結果になりがちです。

たしかに処分するにもお金は必要ですが、少しでもキャッシュに変換できれば今よりも有効な使い方ができるというもの。そういった考えに至らず、遊休資産・不良資産をただ眠らせているという状況は、企業の収益率低下にもつながるのです。

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遊休資産や不良資産を抱えないために会社の財務状況を把握するには、会計上の利益だけでは不十分。現金をどうやって増やしていくかも重視なファクターとなります。

現金(キャッシュ)に着目し、それを適切にコントロールする経営管理手法であるキャッシュフロー経営について、詳しく解説しています。

中小企業のキャッシュフロー経営について

貸借対照表のスリム化を目指そう

遊休資産・不良資産を眠らせておくことは企業価値の低下につながり、事業拡大のための増資やM&Aを行う際のマイナスポイントとなってしまいます。企業の収益率がダウンすると売却価値の算出が不利となり、想像以上に安い金額となってしまうケースがあるのです。

今後、さらなる事業拡大や企業の成長を考えるのであれば、持て余している遊休資産・不良資産を一掃することをおすすめします。その方法が、「貸借対照表の整備」です。

貸借対照表とは「資産」「負債」「純資産」という3点から企業の財務状況をまとめたもので、バランスシート(BS)とも呼ばれます。企業がいかにして資金調達を行い、それをどのように運用しているかを示す表で、M&Aにおける企業の評価に用いられます。

この貸借対照表を整理するということは、企業に不要な遊休資産・不良資産を処分して貸借対照表の勘定項目と金額を減らし、貸借対照表を縦方向にスリム化するということ。売掛金・受取手形などの債権を早期回収したり、コストがかさむ遊休資産を手放すなどし、総資産を圧縮することを意味します。

この貸借対照表のスリム化は、M&Aの成功に不可欠な企業価値を高める方法のひとつ。「不要な資産を売却して借入金返済に充当できる」「負債が減ることで自己資本比率があがる」「余分な維持コストをカットできる」といった、さまざまなメリットがあります。

注意!経営とプライベートの線引きをしっかりと

中小企業の経営者の中には、個人資産と企業資産の線引きがあいまいになっているケースがあります。経営者ですから「企業は自分のものである」という意識が強いのかもしれませんが、これはM&Aの視点から見るとデメリット。M&Aをスムーズに進めるためには、経営とプライベートをしっかり区別する必要があります。

たとえば、法人名義で購入した車をプライベートでも利用していたり、自宅や会員権といった個人資産が企業の資産に紛れ込んでいるケースです。交際費もプライベートとの境界線があいまいになりやすいもののひとつで、個人的な飲食代やレジャー費用などを交際費として計上していることがあります。たしかにこういった行動は節税にはつながるかもしれませんが、貸借対照表を含む財務諸表上での収益率は低下してしまいます。

将来的にM&Aを考えているのであれば、経営とプライベートの公私混同はもってのほか。しっかりと線引きをし、不要な資産は売却してスリム化を図りましょう。

編集チームより

遊休資産・不良資産を抱えることが企業にとって非常にリスキーであることがよくわかりました。
資金繰りは資金調達をするだけでなく、資産を売却することも必要なのかもしれません。不動産に限らず、法人保険の見直しや投資有価証券、ファクタリングも有効な資金調達と考えられます。

もちろん、株式譲渡や事業譲渡もそのひとつ。経営においては何をやるかではなく、何をやらないか、の時代が来ているのかもしれません。

監修コメント
ABNアドバイザーズより
ABNアドバイザーズ澤田様

ABNアドバイザーズ株式会社/澤田氏

不要なものを処分して企業の稼ぐ力を高めよう

遊休資産や不良資産を上手に整理するということは、企業が「利益を生み出す体質になれるかどうか」を左右する重要なアクションです。M&Aを考えているならもちろんプラスに働きますし、譲受企業からも企業の実態を正当に評価してもらえるようになるでしょう。ずっと手をつけてこなかった遊休資産や不良資産の売却・処分や、貸借対照表のスリム化に悩んでいるのであれば、その道の専門家に依頼するのもひとつの賢い手段です。ぜひ、検討してみてください。

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